テイルズオブアライズ完走の感想

 

シンプルに正統進化な作品。テイルズシリーズの秀作です。

30を超えてテイルズをやるのか・・・という自嘲の趣もありまして、素直に「面白い」とは言えやしません。PCゲームってウィッチャー3があるから、評価の基準がこれになっちゃうのよねぇ。

Steamでゲームを買っていて、RPGやアクションを好む人ならばウィッチャー3をやっているでしょう。最高に面白い最高の時間泥棒です。それがセール時1000~1500円で買えてしまうわけですから。

私はどちらかと言えば「JRPGでいいじゃん、JRPGはそれはそれで味があるよ派」だったのですが、ウィッチャー3をプレイして1年以内ならば、ゲームの評価基準がこれであっても仕方がないでしょう。3年くらい引きずってても文句を言わせない面白さです。JRPGをディスる人の気持ちがすごく分かるようになっちゃった。

素直に言えば「TOAに60時間もつぎ込むなら、ウィッチャー3を一周したほうがマシ」です。男爵、また来たよ。

 

RPGなんて60時間を盗んでいくわけですから、ウィッチャー3を超えた要素がなくてはプレイする価値がありません。あのリアリスティックにクソな女どもから離れる時間が必要なのです。見た目が良くて無味無臭のヒロインが望まれます。

その点でTOAは及第点からやや高いところにあります。テイルズを何作かプレイしてきた私にとってはきちんとテイルズの王道を行くヒロインです。ストレスがありません。野宿したときに寝相を気にするとか、小さなところでプレイヤーの好感度を稼いでいくスタイルは素晴らしいと思います。ヒロインメインのサブイベとかいらんのです。

 

良いテイルズには良いヒロインがいなくてはならず、そのためヒロインで大ポカやったシリーズは絶対に評価されません。TOZは戦闘システムも悪くなかったし、私は結構好きなんですけれども、あれは主人公と獅子戦吼の物語でしたねぇ。

ただライラとエドナが普通に良いキャラクターだったので、メインヒロインを必要としない部分がありました。続編となる次回作をそうですが、ボーイ・ミーツ・ガールの似合わない世界観であったというべきでしょう。

 

「言うほど悪くはないよ。でもクソかと言われたらクソだね」というのがTOZの評価であるわけなんですが、これを難しくさせるのが続編となるTOBの存在です。TOBは普通に面白いJRPGなんですよねぇ。

テイルズシリーズで面白い作品といったらいくつかあり、「戦闘体験のTOGf」「キャラのTOtA」と来るでしょう。そんで「パーティのTOB」が来るわけですね。一人いらねぇやつがいるけれど、それを含めてチャットが良かったゲームです。その中にアイゼンがいるわけでね。

TOZをプレイ済みであった私はTOBのチャットがすごく感慨深くて、ああやって旅をしているアイゼンに幸せを感じていました。アイゼンの生き方に触れることがTOBの価値に数えられるほどで、あっけなさすら感じるTOZの、あのストーリーに、深い納得をさせられたのです。

TOZからのTOB、エドナとアイゼンの兄妹における物語。こればっかりは価値を認めていいでしょう。TOZは二度とやりたくありませんが、あのストーリーにもう一度触れたいという気持ちはあります。

でも絶対嫌。TOZのクソっぷりをギリギリ美点へ昇華させたTOBが素晴らしいわけですよ。つまり、兄妹の物語へ触れようと思えば、TOZのクソさと直面する必要があるのです。誠心誠意。

TOZのクソさが許されるのは初見時のみです。二度目はないよ。

 

TOAは普通に良いゲームだったと思いますし、箸休めにはちょうどよいものでした。そうなんですよ。密度が濃くて面白いゲームを遊び続けられるのは1ヶ月やそこらが限界なのです。疲れちゃうから。箸休めが必要なの。頭を使わない、馬鹿みたいに空っぽで、質の良いゲームが。TOAは正しくそれです。

熱中しすぎない程度のゲームである必要があります。ゲームによる疲れにおいては、ゲームでしか癒せない何かがあるのです。これは本当にそうなのです。ゲームから離れているだけでは癒やされない何かが、私を蝕むことがあります。

もう少しお手軽であればいいのですけれど、TOAの方向性は正しいというべきでしょう。テイルズはミドルプライスで頭空っぽゲー作るんじゃダメなのかな?それならシリーズ買いしようと思えますが・・・。

 

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